創立50周年記念式典
昭和43年10月、身体に障害のある方々のための小さな無認可施設として誕生した恵の園は、たくさんのおかげ様により、50周年を迎えることになりました。この50年の前には、約4年間の建設運動がありました。合わせて54年という長い長い歩みの中での、たくさんの方々からの多くのおかげ様に、あらためて深く感謝申し上げます。
この歴史を静かに振り返ってみると、うれしかったことや楽しかったこと、また、悲しかったりさみしかったこと、悔しかったこと、つらかったこと、腹が立つことなど、いろいろなことがありました。
事業は、それなりに発展はしてきましたが、全てが順調だったわけではありません。むしろ、多くの失敗や挫折、問題、苦悩、悲しみの歴史であり、また誤解や批判等も受けた歴史でもあり、50年、54年の歩みはまさに筆舌に尽くしがたく、とても感慨深いものがあります。
私たちは、歴史を大切にします。なぜなら、その歴史の中に恵の園の原点があるからです。その原点の一つは、「自らを愛するようにあなたの隣人を愛しなさい」というキリスト教信仰の実践ということであり、もう一つの原点は、行動理念です。「語る福祉よりも実践する福祉」を標榜し前進してきました。
もう一つの歴史を大切にする理由は、歴史の中に、たくさんの「おかげ様」があるからです。ボランティアや寄付のみならず、様々な支援や犠牲、そして祈りがありました。また、先輩役員、職員の方々の働きがありました。その汗と涙、労力を私たちは忘れてはなりません。
恵の園の歴史は、いろいろな出会いとつながりの歴史です。その中で、様々な事業が発展、展開されてきました。
私たちは、この歴史を大切にし、恵の園にとって重要な精神と感謝を後世に伝え続けながら、ひたむきに前進(善進)を続けていきたいと思います。
恵の園の福祉の鍵は「祈り」です。私たちは、様々な努力をしながら、より良い福祉支援、また福祉共生社会の推進を図っていきたいと思いますが、残念ながら人間の弱さ、力不足、限界があります。最大限の努力をすると同時に、常に「祈り」をもって、進んでいきたいと思います。
「祈りの福祉」がアガペーの愛に通じるのだと思います。他人のために祈る時、その他人は隣人となります。損得、打算抜きに、その隣人のために祈り、行動すること、それが恵の園の理念でもあります。
「理念集団」であると同時に「実践集団」である私たち恵の園は、恵の園であり続けることにこだわっていきたいと思います。それは、これからも原点を拠り所としながら、常に学び、考え、成長、進化、前進(善進)を続け、より安らぎと潤いのある恵の園にしていくことであり、「人間福祉」をさらに目ざしていくことです。
不完全で未熟な集まりではありますが、私たち恵の園の福祉のさらなる前進(善進)のために、皆様の教えや励まし、注意、慰め等のお力添えを、今後とも心よりお願い申し上げます。
(50周年記念誌 「福祉という長い坂」 理事長あいさつ文より)